鍼治療は、世界保健機関(WHO)からさまざまな症状に効果があると認められている治療法です。鍼治療が社会的なステータスを得ているという点では、健康保険に適用されるということからも、受け入れられているということがわかりますよね。ただ、ここで疑問を感じる人がいると思うのは、鍼治療の場合はどの頻度で治療を受ければいいのでしょうか。
例えば風邪をひいて少し熱があったりした場合には、医者に行って薬をもらって、2回程度行けばほぼもう大丈夫ですよって言われますよね。また、指を骨折した場合でも、人間の回復力というのは素晴らしくて、2ヶ月もあればもう来なくてもいいですよと言われます。一方で鍼療法の場合は、どのくらい通院することで、不調な状態を良くすることは出来るのでしょうか。
治療の頻度はどのくらい?
それと、不調の状態というのは、個人差が必ずあります。Aさんの状態とBさんの状態が全く同じということはありません。先ずは、鍼灸師が施術をする際に、しっかり施術を受ける人とコミュニケーションを取る必要があります。その理由は、施術を受けに来ている人が現在どういう状況になっているのかというのは、話をしてみたり、状態の悪いところを触れてみないとどのように施術をしていけばいいのかという、施術方針が決まるからです。また、どういう施術をするかと決まって、施術をするにしても、施術を受ける人の状態をチェックすることで方向転換をする場合もあります。つまり、施術を受ける人の状態でもっと施術を続けなければ行けないということもあるでしょうし、もうそれほど多く施術をする必要がないというケースもあるからです。
治療のタイプ
では、実際に施術を受ける側の状態によって鍼治療の頻度がどのようになるのかということをご説明したいと思います。
通常、施術を受ける人のタイプというのは、大きく分けると、
・状態が悪くて、生活に支障をきたしている状態であるということ
・生活に支障をきたしていないけれども、改善したいという人
・症状が落ち着き、状態はどんどん改善しているという人
・スポーツ選手のメンテナンスなど
になります。
状態が悪い場合
まず状態が悪い、生活に支障をきたすという人の場合は、できるだけ多く通うべきで、具体的には週3回くらいは施術に行ったほうが良いと思います。ただし、ずっと週に数回通院するということではなく、状態が良くなれば、先生の方から週1回でいいですよとか、2週間に1回でもいいですよということを言われるはずです。ただ、状態がものすごく悪いときは集中して施術をする必要がありますので、週に3回ほどは通院するということになるでしょう。
不調が慢性化している場合
生活に支障はきたしてはいなけれども、イマイチ調子が良くないという場合には、不調が慢性的になっていると考えられます。慢性症状が厄介なのは、一般的になかなか状態が改善されにくということです。そのため、鍼灸師は不調の状態をしっかりチェックして、どうすればいいのかと検討して、中~長期の治療計画を立てて、根気よく続けることが基本になります。っそのため、状態のチェックするために回数を減らしても、現状維持できるかとか緩やかでも改善が見込めるかなどを観察し、様子をみながら間隔をあけていきます。通常は、最初のうちは週1回ほど通院をして、ある程度問題を見極めた時点で、2~3週間に1~2回の通院という事になります。
メンテナンスや状態のチェック
最後にスポーツ選手のメンテナンスや状態のチェックということに関しては、もともと体が不調ではなく、将来的に不調になる芽を予め摘んでおくということがこのこの治療の目的となります。この場合は、月に1回ほどの通院でいいと思います。ただ、ここで注意をしておきたいのは、本人が不調を感じずにメンテナンスでいいと思っているけれども、鍼灸師がチェックをしてみたら、実は状態がすごく悪かったということです。本人は無自覚だけれども、実は状態がひどいということはよくあることですので、しっかりチェックしてもらうことをおすすめします。