鍼治療は東洋医学に基づいて、鍼治療を受ける方の身体の不調に応じて、その不調に対応するツボを中心に施術が行われます。具体的な効果としては、それぞれ個人差がありますけれども、特定の部位やツボに対して、鍼・針を刺入したり接触させることで、刺激量を調整し、健康的な身体作りの手助けをしてくれます。具体的には、鍼灸の刺激は自律神経系、内分泌系、免疫系等に作用し、その結果として、筋緊張の緩和や血液及びリンパ液循環の改善を促します。また、鍼治療は生体の恒常性(病気を自然に回復させる作用)そのものを改善させる働きがあると考えられています。また、諸説がありますが、痛みの軽減や抑制など鎮痛効果もあるとされています。
健康保険の適用を受ける場合の注意点
このように状態を改善することが出来る鍼治療ですが、一定の要件を満たす場合は、「療養費」として健康保険の対象となります。ただし、健康保険の対象とならない場合は、全額自己負担となりますので注意をしましょう。
では、実際に鍼治療を受ける場合に健康保険の適用となるのは、次の二つの要件を満たしておく必要があります。まず、次の傷病であることが必要です。
・神経痛
・リウマチ
・五十肩
・頸腕症候群
・腰痛症
・頚椎捻挫後遺症
これらの傷病であると同時に医師がはり・きゅうの施術について同意していることが必要になります。
鍼治療を受ける場合の注意事項
鍼治療を受ける場合には、まず同じ症状において医師による治療の併用を受けることは出来ませんので注意しましょう。今回鍼治療を受けているということは、医師による適当な治療手段がない場合のみとなります。そのため、鍼治療を受けながら、並行して医療機関で同じ傷病の診療を受けた場合は、鍼治療は、健康保険扱いとはなりません。また、健康保険を使って継続して鍼治療を受けるには、6ヵ月ごとに文書による同意が必要です。医師の同意のない施術は、健康保険の対象となりませんのでここでも注意しましょう。これ以外には、施術を受けた際に発行される領収書は、後日確定申告をする際に医療費控除を受けるためには必要な証拠書類となりますので、しっかり保管しておく必要があります。
次に鍼治療を受ける場合の注意点について、ご説明します。
まず施術前の注意点としては、体調が良くない場合、寝不足、空腹などの状態は鍼治療をおすすめできません。ある程度体調を万全にして、しっかり睡眠をして、施術を受ける1時間前にはしっかり食事をしておくようにしましょう。また、自分が気になる点があれば、予め現在の状態や不安などを伝えておくということは必要なことです。
鍼治療を受けたあとの注意点としては、まず自宅に帰り安静な状態にすることをつとめてください。また、当日の飲酒も避けるようにしましょう。鍼治療は、身体のツボなどに刺激を与えていることになりますので、身体自体が刺激を受けているということもあり、身体の状態が鍼治療でスッキリしたと思っても、出来るだけ身体を休めるということを意識して行うようにしましょう。
また、鍼治療は特定部分に対して刺激を与えますので、身体が様々な反応を起こすことがあります。鍼治療をしたあとに起きる身体の状態としてよく見られるのは、
・体が怠くなったり、施術部位周辺に筋肉痛のような痛みや不快感が出る事がある
・施術部位周辺が内出血したり、腫れる事がある
・めまい、冷や汗や吐き気がするなど、気分が悪くなる事がある
・一時的に痛みが増す事がある
などですが、これらの状態は、鍼治療によって引き起こされるものですが、身体を休めたり、再度施術することで症状は改善しますので、特に心配はありません。ただ、状態がおかしいと思った場合には、施術をうけた鍼治療院に状態を申し出るようにしましょう。