鍼灸とは
鍼灸治療は、いまや世界保健機関(WHO)からさまざまな症状に効果があると認められている、世界中で認められた治療手法です。
鍼灸治療とは、身体の特定の点を刺激するために専用の鍼や灸を用いた治療法のことをいいます。国家資格試験である「はり師」「きゅう師」が施術の資格を保有しています。
鍼治療に使われる鍼は髪の毛程度の細さなので、熟練したはり師であれば、刺したときの痛みはほとんどありません(ただし皮膚には痛みを感じる点(痛点)があり、ごくまれにチクッとすることもあります)。
鍼灸といえば「頭痛、肩こりに効く」「東洋医学」というイメージにとどまる方が多いと思うのですが、最近でも厚生労働省の発足したプロジェクトチームでは西洋医学だけで対処できない現代のさまざまな疾患に対して鍼灸治療も取り入れた医療の促進を進めていくようになりました。また、中国、日本だけでなく欧米諸国であるアメリカ、ヨーロッパでは日本以上に医療現場での活用が進んでおり、もはや医学の東西という枠組を超えて、人々にとって重要な医療手法としてグローバルに普及しているというのが鍼灸における現状です。
それでは、鍼灸治療がどのような効果があるのかという鍼灸の効果の仕組みがどういうものなのかということについて、全ての仕組みが科学的に証明されているわけではありません。しかい、長年の鍼灸の研究の結果、ある程度作用の仕組みというものがわかってきています。一つは、組織や機能を回復させる作用があるとされていますし、血行促進効果や免疫力の活性化と言ったことも実際の鍼灸の治療をすることで発生する効果ということが言えます。例えば肩こりや筋肉痛、関節炎などが発症している場合には、鍼灸の治療をすることで血行が促進され、状態を改善させますし、鍼灸の治療をすることで白血球を増やし、生体防御機能が高まり、身体全体の免疫機能を活性化させる働きをすると言った効果があります。
保険と鍼灸
この鍼灸での治療は、医療行政においては保険点数化されていません。ただし、療養払いというシステムで保険適用されます。保険の適用と言うのは、通常の病院などで治療を受けた場合に療養の給付と言うかたちで保険が適用されます。しかし、病院や医院と言った一般的な医療機関以外の鍼灸院での治療は、療養費の支給と言うかたちで保険が適用されることになっています。
しかしながら、鍼灸院の治療がすべて保険に適用されるということではありません。では、鍼灸の治療において保険が適用されるのは、どのような症状でしょうか。
鍼灸で保険適用とされる症状は次の通りです。
・神経痛
・リウマチ(急性・慢性で関節が痛み、腫れているもの)
・頸腕症候群(首から肩、腕にかけて痛みやしびれなど)
・五十肩(肩関節が痛み、腕が上がらないような症状)
・腰痛症(慢性の腰痛、ぎっくり腰など)
・頚椎捻挫後遺症(むちうち症、頚のケガなど)
この症状以外に類似している疾患は、保険適用になります。
鍼灸で保険適用を受けるための手続き
ただ、保険を適用されるためには、上記のような症状で医師の治療を受けている必要があります。と言うのは、保険の適用を受ける場合には、医師の同意書が保険の適用を受ける際に必要な書類だからです。この場合、同意書ではなく、医師による鍼灸の治療が必要であるという旨の診断書でも構いません。また同意書は、鍼灸院に対して保険適用で治療を受けたいということを伝えますと、同意書が交付されます。この同意書を従来治療の受けていた医師に記入をしてもらい、次に治療院に提出をして、その後の手続は、鍼灸院の方で行ってくれます。
このように、鍼灸の保険適用は、医師や鍼灸院としっかり相談をすることが必要です。