はじめに

鍼もしくは鍼治療(はりちりょう)とは、主に中国医学やその影響を受けた伝統医学(チベット医学やモンゴル医学)の理論に基づいて専用の鍼(針)を用いて皮膚・筋肉などを刺激することにより生理状態を変化させ、疾病の症状を緩和するとされる医術、民間療法。
日本において鍼は独自の発展をしたために中国を筆頭とする世界の鍼とは異なった鍼具や手技を用いる。現在、日本において鍼を業として行うのが可能なのは、医師および国家資格であるはり師の免許を持つ人である。尚、自分自身に施術することについては特に資格は必要とされておらず、一般の人で(限定的ではあるが)技を教えてもらい、自分で自分自身に施術している例もままある。
欧米では代替医療に分類されている。

現状

鍼灸は、歴史的にも戦後のある時期まではほとんどが視覚障害者の業種であったが、現在では、全国的な視覚障害者の減少と相まって、晴眼者(非視覚障害者)の免許者が圧倒的に増加している。近年の規制緩和以前には、鍼灸按摩養成機関の新規認可は非常に難しく、国家試験受験者数は適正に制限されていたが、規制緩和後はインフラに金がかからない鍼灸学校新設に歯止めがかからず、毎年の卒業者数は以前の数倍に膨れ上がっており、需給関係は崩壊状態と言われる。このなかで、あん摩マッサージ指圧師(あまし師)の養成学校のみは、視覚障害者職域保護のためとして、新規参入による学校乱立から辛うじて保護されている。
鍼灸師の現状は養成学校乱立と共に鍼灸師は年々増加しつつある傾向で”飽和状態”であるが、近年の学校入学者は減少傾向である。その要因の1つとしては、多額の学費を払い国家資格試験に合格し、鍼灸師の国家資格を取得して勤務または開業しても、大半の鍼灸師の現状では一般的なサラリーマンの平均収入より少ない収入しか得られないことが挙げられる。このため、鍼灸師国家資格所持者であっても、他の職業、職種に勤務従事している者も多いのが現状である。介護職等離職率が高い職業の一つである。鍼灸の効果が一般化されていない上に広告制限により鍼灸適応疾患や料金を宣伝できないため鍼灸院の営業は厳しいといえる。鍼灸接骨院では柔道整復師による柔道整復術は保険が使えるが、鍼灸の保険治療には医師の同意書が必要な上に、鍼灸保険治療の疾患で同時に医師の治療や薬剤師による投薬が受けられない保険医療機関等の併給禁止などの制約があり、加えて鍼灸は原則償還払いのため、鍼灸院や鍼灸接骨院において保険による鍼灸治療を正当に行うことは、困難を伴うといえる。さらに、従来鍼灸治療を行う鍼灸院のほとんどが自費治療を通例としてきており、これらの理由から、わが国の保険医療費に占める鍼灸療養費の割合は非常に低い(250億円前後)。長年、この様な問題があり鍼灸師関連団体が鍼灸保険治療制約の改善がなされるよう厚生労働省に定期的に協議や政治活動を行っているが、医師会の圧力があり改善は難しい。
鍼灸の保険制度が改善されると受診者が増え、鍼灸治療は大きな病を予防することもできるため健康保険財政難は回避できる可能性もある。 欧米のように、基本的に医療保険は民間保険会社が担う社会では、費用対効果が保険適用の重要な指標となり得るため、薬価に比べて安価な鍼灸の保険適用は、日本よりも容易に行われている現状がある。特に各種疾病に対する予防効果に関しては、海外で鍼灸の臨床効果の研究も進み、海外の医療保険行政においては、鍼灸は非常に有用なツールと認められている。

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